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回転木馬とか [作曲]

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 リズムの拘束が強い場合,そこから抜け出れなくなって一種の陶酔状態になるという話を以前書きました.今回はまさにその話で,結局回転木馬のようなこの曲から脱出することが出来なかったようです.
 僕の大好きな哲学者の一人ににロラン・バルトがいるのですが,彼の”恋愛のディスクール”は大病になった時も読み耽って何度も眠れぬ夜を遣り過ごしました.どこかバルトの生々しい声が刻まれていて,短い断章から思考の由来が見え隠れするのです.恋愛というよりは,愛するということの手に負えない性格をいろいろな断章から読み取ることができました.
 例えば
”こころとは,わたしの手元に残ってしまったもの,なのだ.そして,わたしのこころに残されたままのこころは,重く悲しい.引き潮の思いに満たされて重い(恋するものと子供だけが重いこころをもつのだ).”
 とか,
”フェディング現象は,あの人の声について起こるものである.愛する人の消失を実証し,読みとらせ,いわば完遂させることになるのは,その声なのだ.死ぬことこそが声の特性だからである.”
 とか
沢山の文章に線を引いて,何度も読み返したことが思い出されます.そのバルトが恋愛をして”統合的なものではない”水平的なものであると強い調子で断言しているのには驚かされました.フィギュールと呼ぶ一種の型は完全に孤立して,隣接性を規定できないこと,まるで永久暦のように次々とめぐり続けるが,決して物語を形成できないというのです.

 今回の曲を作っていて,ふとこのことを思い出してしまいました.曲はいつものso-netのブログにUPしてあります.

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